前橋家庭裁判所 昭和42年(家イ)33号 審判 1968年4月09日
申立人 高橋登志子(仮名)
相手方 高橋一夫(仮名)
参加人 高橋与作(仮名)
主文
申立人と相手方とを離婚する。
右当事者間の子君代、昌江の子の親権者を申立人と定める。
参加人は、申立人に対して昭和四三年六月末日五万円、同年九月末日五万円、同年一二月末日三万円を支払うこと。
理由
申立人は、相手方に対しては離婚を、その父である参加人に対しては相応の金員の支払を求める調停を申し立て、参加人は離婚が成立する場合には主文第二項掲記の金員を申立人に支払う旨約束したが、相手方との間には離婚の合意が成立しない。しかしながら、当裁判所調査官の報告書、申立人の陳述および○○○病院長医師清水俊郎の陳述をあわせると、相手方は約八年前から精神分裂病に患り現在同病院に入院中であるが、回復の見込はなく、申立人は二児をかかえ針仕事でようやく暮しているがすつかり生活に疲れ果てて本申立におよんだものであつて、相手方の父も離婚はやむを得ないものと考えておること、および相手方は、申立人との離婚を望んではいないが、同人もまたその覚悟はしている模様であることが認められる。(前記医師の陳述によると、相手方は離婚の意味を理解し得る意思能力は有していることが認められる。)よつて当裁判所は、当事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情をしんしやくし、なお民法第八一九条第二項を準用して当事者間の子の親権者を申立人と定め、家事審判法第二四条に則り主文のとおり審判した。
(家事審判官 水野正男)